[ July - 2004 ]
---------- 目 次 ----------
ごあいさつ
今月のお花つれづれ
〜【AIFDのお花の巨匠たちのセミナー】〜
Ellie の7月のアレンジメント
〜【7月の独立記念日。今年は優しいイメージのアレンジで。】〜
Ellieのつれづれ日記 - 今月の思い出話
〜【「出来る女は料理がうまい?」の巻き】〜
編集後記
お知らせ

ごあいさつ

最近、雨続きの多いNYです。たった今も土砂降りの雨。“Raining Cats and Dogs”という表現がありますが、(まるで猫と犬が天から落ちてきたみたいに激しい雨が降っている、という意味)まさにそんな感じ。でも、あまり長くは続かないのが幸いですが、こんな感じよりもっと凄かったのでしょうね、新潟と福井の雨は。

ニュースで見て、心が痛みます。その合間に曽我さん一家のニュースを見て・・・ 家族の絆を感じさせられます。その後はどうなったのでしょうか・・・最近は時々テレビジャパンを見せてくれる友人家族が一時帰国中で、テレビを見る機会がなくなり、気になりますが・・・。

我が家では、ここ1年、テレビのケーブル受信をしていないので、家の中はテレビなしの静かな生活です。さてどれだけ続けられるか、自分との根競べ?という感じもありますが、子供たちからは別になにも文句がありません。ま、当分いいか、って感じです。静かだし、あるとつい見てしまって、やるべきことがおろそかになるし・・・。でも、アメリカの事情にもついうとくなってしまうのはどうしたものでしょうか・・・。

今月のお花つれづれ

7月始めに、AIFD(American Institute of Floral Designers)という全米のトップフラワーデザイナーたちが集まる大会が、マンハッタンのミッドタウン、ヒルトンホテルで開催されました。世界中から650名ほど集まりました。

1965年からアメリカで始まった、フラワーデザイナーの連合会みたいなものですが、今や世界中のお花をする人たちからの注目の協会になりました。もともとは、大きなアメリカの中で、お互いデザイナーたちが競い合うというよりも助け合うという精神、つまり、自分で編み出したテクニックや、習って応用したものをデザイナー同士でシェアーする(分かち合うという意味)目的で始まったそうです。

ところが、今や世界中のデザイナーたちが集まってくるようになり、毎年独立記念日をはさんで、アメリカのどこかの都市で開かれます。日本からも韓国からもインドネシアやイギリスなどからたくさん集まり、世界大会のようです。特に、韓国からは年々参加者が増えてきていて、今年は50名以上の団体さんだったそうです。韓国では、このAIFDのレベルが世界一と思っているらしく、今にアメリカ人のフラワーデザイナー達より人数が多くなったりして、と思わせる感じです。

一番少ないのが、ニューヨーク出身のデザイナー達。AIFDの会長さんいわく、日本もそうらしいのですが、どうも大都会の人たちは、競争が激しいせいか、自分のテクニックが盗まれるから、シェアーなんてとんでもない、と考えるらしく、大都市の人間の根性は、もともとあったアメリカのおおらかさには程遠いような感じらしいです。なんとなく、納得・・・。

その中のショー(お花を使ったステージショーでした)は、本当にこの人はフラワーデザイナーなの?と疑うくらい、ショーマンシップに溢れていて、さながらエンターテイナーのようでした。だから、見ていておもしろいの。おしゃべりしながら、最新テクニックを公開しながら、冗談も言いながら、時にはダンスまで見せながら・・・と、お花をする人はおしとやかで静か?という日本のイメージとはまるで違います。

特に大喝采だったのは、インドネシアのトップデザイナー、ミスター・ミン。ほんと、英語がこれほど上手じゃないと、こうはおもしろくはできないでしょう、と思うほど、余裕のあるプリゼンテーションで、楽しく彼の作品の数々を披露してくれました。インドネシアの熱帯の土地柄、オーキッドやデンドロビウムなどの蘭をふんだんに使ってのアレンジメントの数々。扇型のセンスを花で作ってブーケにしたり、パーティ会場のアレンジとして、柳を編みこんでまるで大木のようにしてランプを灯すように花を活けこんだり・・・奇想天外なアイデアに脱帽です。

いろいろなステージを見せてもらいましたが、はっきり言えるのは、お花は芸、パフォーマンスの域にあるということです。ただお花を活ける、花の特性を活かして、豪華に活けるという域は当たり前。お花を使って、何を表現するか、何が出来るか、もうアブストラクト(抽象的)なんかもちろんOK。何かしかけをしないともう見ているほうはつまらない、という雰囲気。うーん、深すぎる・・・。感性を磨く以外、一緒に楽しめる方法がありません。

どれが正しいというのではなく、どんな風なのが楽しいか、人々をうならせることができるか、という基礎のテクニックに上にたった数段上のテクニックとも言えるのではないでしょうか。もっともっと奥の深い勉強の必要性を感じました。向上心をかきたてられたから、相当プラスになったセミナーでした。私の修行ももちろん、まだまだ続きます。

Ellie の7月のアレンジメント

7月はなんといってもアメリカの独立記念日です。7月4日は快晴でしたから、花火がきれいでした。すぐ近くの中学校であげていました。普通は川とか水のあるところが定説ですが、なんということでしょう。校庭からドンパン、ドンパンと大きな打ち上げ花火をあげるのですから、すごいものです。

色鮮やかな花の中からは、こんな花火のイメージを持った花を見つけられませんが、白ならあるんです。クイーン・アン・レースという花。茎が細くて頭でっかちですが、その花の咲き方が繊細ですがおもしろい。まるで、花火が開いているよう。打ち上げ花火のように少しは上の方にも活けましたが、今回は仕掛花火かな?下の方にミリオンスター(かすみ草の親分みたいな花)とともにもくもくとある感じ。

そして、やはり7月の色は、アメリカの星条旗の色、赤、青、白でまとめます。でも、今年はどうしても濃い赤は使いたくない気分なので、ピンク色の濃淡で現しました。濃いピンクのガーベラの大きなお顔が、まるでパッと夜空にあでやかに咲いた花火のようです。ブルーの小さくてかわいい花、コーンフラワーもあちこち飛んで、花火の色つけをしています。優しい感じの独立記念のお花になりました。

ブルーの花器は、2年前に出会って、仕入れたもの。ずっと我が家の蔵?に眠っていて、今回覗いて見たら、見つけました。これを絶対使いたかった。きれいなブルーは、アメリカの澄んだ空の色です。


Ellieのつれづれ日記− 今月の思い出話

「出来る女は料理がうまい?」の巻き

ついさっき、気の置けない女友達2人と美味しいスペイン料理をマンハッタンのチェルシー付近に食べに行き、多いに飲んで食べて、たいそういい気分で帰ってきました。

女同士で割り勘でわいわい騒ぐ?というのは最高です。そして、そういう友達を与えられて幸せです。3人とも昔は駐妻で(駐在員の妻だったということ)、でも今はしっかり自立していて、話の内容も昔と大違い。だって、昔は子供の教育やしつけ問題で盛り上がり?夫の悪口も?(いや、失礼)話の種になり、という感じから、今は全く将来のことばかり。もちろん、私たちの輝く将来のことです!

皆それぞれ人生や社会の経験をそれなりに積んでいるから?目も肥え、舌も肥え、口も肥えて?もう話だしたら止まらない。20代や30代の時よりもっと話が深く、おしゃれの話、若くなること、美しくなること、パートナーとのこと、生きがいのこと、仕事のこと、そして美味しい食事のこと・・・。私たちの間では、不思議と愚痴がでません。ですから、ワインがとても美味しいのです。そんな愚痴を言っている暇があったら、自分をもっと磨かなくちゃ、とそれぞれ思っているから、超前向き思考で、私にはとても心地がいいです。

そして、気づいたこと。皆美味しいものに貪欲なことです。安いけどまずいものはもう受け付けません。レストランならリーズナブルで(値段が手頃という意味)美味しくって、客層がよくなければ絶対だめです。とても雰囲気のよい客が揃うところは、居心地よく、食事も楽しい会話も弾みます。この“雰囲気のいい”という点がとても大事。お店の内装や色合いなどと調和しあった雰囲気がないと、もう受け付けなくなってきています。不思議とそういうレストランでは、変な客?というのにはお目にかかったことがなく、安心してゆったりと食事も会話も楽しむことができます。ですから、新しいレストランに着いたら、まずゆっくりと品定めならぬ客層定めをします。

私の女友達で、「彼女は出来るな!」という女性は、必ずといっていいほど料理が上手で、手際がよく、あっというまに心のこもった料理をさーっと並べます。昔、桐島洋子さんが「聡明な女は料理がうまい!」という本を出しましたが、まさにその通り。「別に、こんなことたいしたことないのよー」とばかり、ささっと美味しいものを作って、一緒にみんなでわいわいとワインを楽しみます。食べるのもおしゃべりも好きなら、それはそうなりますよね。それもとても自然だから、誰も実は気には留めないのだけれど。

でも、よく考えてみると、超かっこいいさまだと思う。つまり、「けっしてひけらかすことなく、あくまでもさりげなく、しかし、しっかりと」美味しい食事を作り、楽しむ。生きる過程を自然体で存分に楽しもうという態度。やはり、そんな“出来る女”にとっても憧れます。私も見習って、これから積極的に身につけていきたいと思う姿勢です。「意識しないで、気が付いたらそうなっていた、」なんていうのが一番かっこいいと思いますが、自分の生き方に自信がでてきたら、自然にそうなるのかもしれませんね。

結婚したてでまだお料理の手際悪く、得意ではない、というかわいい若奥様にお会いすると、「そうか、私も昔はそうだったかな?」なんて、改めて自分の来た路を思い浮かべ、年期というのはいいものだ、と思ったりします。なんといっても、ピーチクパーチク達を時間と戦いながらも充分に満足させたその自負がそう思わせているのかもしれません。そう言う点では、女としての自信というものが「年期」という形で培われたのでしょうか。経験というのはいいものですね。

美味しい料理を作るには、まず美味しいものを食べなければなりません。美味しい基準がわからなくなるからです。つまり、食べることにも、味付けにも貪欲になる。美味しーいものを食べると、幸せーな気分になりますものね。だから、料理の出来る女は、美味しいたれやドレッシングなどの味付けにそれぞれこだわり、ついうんちくをたれますが??それをしっかりメモるわたし。そして、どんどんレパートリーに加えていきます。

私の料理のお手本になる人は、高校時代の親友、ハルミちゃんのお母さん。その当時、自分でまかないをする小さな産婦人科の奥様で、それは料理が上手な方でした。だから、彼女の家に呼ばれるのがとても楽しみでした。プロ顔負けのお手並みなのですから。その時、オーストリアから留学生として寄宿していた私の友人、サビーネが1年間で太ったのなんのって。毎日、「お母さんのごはん、美味しい、美味しい」って連発だったもの。

そのお母さんのお手本は、NHKの「きょうの料理」。タンタカタカタカ、タンタンターン、(このテーマ音楽は忘れません。今でもそうでしょうか?)と始まると、さっとビデオを入れ、番組を録音しながら、あっちこっちとお掃除したり、まかないしたりと大忙し。じっとしている人ではありませんでした。そして、ちょっと時間を見つけては、さっとテレビの前に来て、テキストを開きメモをとり、それは熱心でした。彼女も、やはり「出来る女」でした。いつも生き生きとしていて、ご主人(産婦人科の先生)をしっかりサポートなさって、なんでも手際よくって、とても前向きでしたから。とても素敵な方でした。

「私は、お料理は全部、これで習ったのよ」と聞いて、びっくり。「そうか、このお母さんの美味しさの原点は「きょうの料理」だったのか、」といたく感心し、私も真似をして結婚してからかなり長い間(15年くい?)ずっとテキストを買っていました。やっぱり、番組を見ると、つい作ってみようかなって気になりますから、たいしたものですよね。おかげさまで、すっかり料理が得意になりました。でも、まだまだ、私の理想とする“出来る女”からは程遠く、心では憧れを抱きながらも、余裕のない生活の毎日が続いています・・・。

しかしですねぇ、自分としては納得しないのですが、どうも私は料理をするとは思われないふしがあるようで、先日も
「エリーさんて、お料理あまり作らないでしょ?」
なんて、ある男性からこんなことを言われて、つい、ムッ。結構、ガーン。失礼ねぇ。

「あんたにそんなこと言われる筋合いないわよ」と心で突っ込みましたが、顔はニコッと笑い、「まぁ、これでも結構お料理は得意なほうなんですよ。信じてもらえないかもしれませんが。」なんて、静かに反論したりして・・・。私にはどうしてかそう見られるふしがあるようで、(つまり、わがままな料理不得意女と言う意味なのかなぁ??)その度、私もまだまだ女の修行?が足りないな、なんて思ったりしましたが・・・。ほんと、程遠いわぁ。

かくして、こうして培った私の料理の数々も、子供たちの前では特になんということもなく、つまりは、いつも作る定番品がいわゆるおふくろの味になっています。長男にとっては、私の作る「ポテトサラダ」。次男にとっては、私の作る「とんかつ」。いろいろレパートリー豊かに試しましたが、しかし、やはりオーソドックスというか、ありきたりというか・・・。でも、「お母さんのポテサラが食べたい、あれが食べたい、」なーんていわれるとつい嬉しくなっていそいそと作ってあげてしまいます。ま、そう言われてリクエストされているうちが 花だな、なんて思っていますが。子供たちのおふくろの味が確立したということで、とても嬉しく思っています。(これがあるうちは、決して子供が非行には走らないでしょうから。)

そして、私の今現在のささやかな夢は、「時間を作って、エリー先生のお料理を習いに行く」ことです。お料理のエリー先生とはもちろん、私のことではなく、私と同じ名前の私の友人のこと。彼女の舌のセンスは抜群で、一度その味を食べたら、全く同じに再現できるという凄腕の料理人。どんなジャンルのお料理もパーフェクトにこなします。今のところ時間があわないので、通えませんが、ぜひぜひ近い将来にかなえたいことです。ですから今は、彼女のお薦めのレストランに時間ができたら通うことで(今夜のレストランも彼女ご推薦でした)、その時が来るまでせっせと私の舌を肥えさせておくことにしています。

編集後記

☆ 夏休みの真っ最中。日本の異常な暑さはお気の毒という感じですが、こちらは結構すごしやすいNYの夏を楽しんでいます。子供たちが日本へ行っている間、とっても自由な時間が持てて、幸せ〜な気分になってしまいました。子供たちが苦手な玄米ご飯を炊いて、毎日超ヘルシーな夏休み。ついでに、お腹まわりもひきしめようと、友人が効いた!と騒いでいる「脂肪燃焼ダイエット」に挑戦してみようかしら、と密かに計画中であります。もし、うまくいったら教えてあげましょうか??? 来月まで、ごきげんよう。

それでは、皆さん、私にメールくださいね。励みになりますので。よろしく!

お知らせ

☆ 今月号のニュースレターはいかがでしたでしょうか。ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております。今後の発行の参考にさせていただきますので、ぜひお声を寄せてください。

☆ 12/19/03号からNYジャピオンにフラワースクールの広告を載せ始めました。現在は、毎月の第2と第4週目のNYジャピオンに広告掲載しています。

☆ 2003年の6月にEllieのアレンジメント教室、Ellie's New York Floral Designを開校しました。月に1回の「季節の花」を活けるクラスも新設しました。初心者からプロになりたい方まで指導する教室です。現在は、マンハッタンの新スペースにて、水曜の昼と夜のクラスも併せて開校しました。ご興味のある方は、こちらからどうぞ。

《発行人》Ellie Grace Toda
《発行元》Ellie's New York Inc.
《ホームページ》http://elliesny.com 日本語のページ
《お問い合わせ》flower@elliesny.com

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        Ellie Grace Toda
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