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ごあいさつ
「今月の花」ヤロ ―
11月の「ブーケ・イン・ア・バスケット」
Ellieの サンクスギビング・ アレンジメント
お知らせ
編集後記
ごあいさつ

今月号は、すっかり遅くなってしまいました。理由としては、10月半ばに(これは私自身が、原稿締め切りの日と勝手に決めている日と重なっています)日本へ1週間一時帰国したためです。自分ではいつも「私には、時差ぼけがないの!」と豪語しているのですが、これはどうも自分自身に厳しく言い聞かせているため、とよーくわかりました。日本滞在中はいつも1週間くらいなので、本当に時差ぼけしている暇がないのですが、問題はNYに戻ってきてからです。決して歳のせいにはしたくないのですが・・・ 今回は相当きてしまいました。なんか体の中の方が疲れている感じで、いつもの元気がでないのです。そうすると当然、花を活ける気にならないし・・・。

つくづく花を活けるということは、ゆとりの心から生まれてくるものだ、とわかります。花を愛でる気持ちはあっても、その花を通して自分を表現してみようとは、なかなか自分がしっかりしていないとできるものではありません。花のプロだからいつでもOKでしょう?と言われればもちろん活けられるのですが、自分の心から表現したいもの、活けたいものを活ける、ということは当然自分自身を現すことだから、やはり気持ちがピシッとしてないといけませんねぇ。はい、すっかり弁解めいてしまいました・・・。プロはいつでもプロでなければいけないのでした・・・。

さて、もうサンクスギビングの月です。今、NYは紅葉真っ盛り。ドライブしていて目がとっても楽しいですね。つい見とれて、おっとっと・・・ということに。危ない、危ない。マンハッタンの街中では満喫できませんが、ちょっと郊外に行くとそれは見事な紅葉が広がっています。もしNYを訪れたいのなら、絶対紅葉の季節をお勧めします。それほど寒くはないし・・・ラジオからは「ゴージャス・デイ!」と感嘆の声が聞こえてきます。そう、こういう日を「贅沢な日」というのでしょうね。

でも、11月第4週目の感謝祭の頃になると、すっかり葉が落ちていよいよ冬支度の始まりです。何度かボストン郊外のメイフラワー号の着いた辺りを訪ねてみましたが、その頃はさぞ寒さが厳しかったのでは、と思います。その中で自然と闘いながら、そして新しい環境に必死に順応しながら、自分たちの手で勝ち取った最初の収穫はさぞ喜ばしいものだったでしょう。アメリカ人は、やはり感謝祭の頃は敬虔な気持ちになると聞きます。その象徴として、七面鳥、かぼちゃ、とうもろこし、栗や木ノ実などの自然な実の物、ぶどうやりんごなどがあります。色合い的には、こっくりとした森の奥深い感じのする、ダークグリーン、エンジ、茶色、オレンジ、濃い紫などが挙げられます。それらを組み合わせて、アメリカの感謝祭を表現してみましょう。

「今月の花」 ヤロー

この花の名前は「ヤロー」と教えると、皆、決まって、「えっ?」と聞き返します。そして、クスッと笑うし、面白いリアクションがあります。だってねぇ、ちょっとふざけた名前みたいですよね。「YARROW」と書きます。決して、英語読みではふざけてはいないのですが。日本語名では、ラテン語読みで「アキレア」とか「アンセミス」と言われています。

深いからし色がなんとも深まり行く秋を現しているようで、やはり濃い紫色とかエンジ色とかとよく合います。このままドライフラワーになりますから、しばらくの間は楽しめる花です。ドライになるに従って、より濃い色になっていきます。決して目立つ花として主役には使えないのですが、準主役ともいいましょうか、なかなか存在感のある花です、もちろん全体の色合いの分量にもよりますが、このヤローが多いと大変個性的なアレンジに仕上がります。今月号のアレンジには、脇役としてしか使いませんでしたが、りっぱなヤローが手に入ると、こっくりとした色合いの秋色アレンジメントにはかかせない“超”脇役に昇格します。私のクラスのプロ科のレッスンには比較的多く登場します。いずれ、HPの更新時にサンプルの写真をお見せしましょう。

ヤローにについての詳しくは、HPの“What's New?”のページに「今月の花」の特集に掲載しております。

11月の「ブーケ・イン・ア・バスケット」

今月もまた10月に引き続き、持ち運びやすくかわいいバスケットアレンジを特別価格にて提供いたします。いつもの「ブーケ・イン・ア・バスケット」よりはこじんまりとしていますが、ギフトとしては大変人気の高い「スリー・サイド・アレンジメント」というアップライト風のアレンジです。サンクスギビングのターキーディナーに御呼ばれのとき、ぜひお持ちください。

Ellieのサンクスギビング・ アレンジメント

4月から、トラディッショナルなスタイルを意識したアレンジメントを順次ご紹介しています。4月は、伝統的で、基本的なアレンジメントの代表でもある「トライアングル」。そして、5月は「Lシェープ」。6月は、取っ手のついたバスケットに活けたセンターピースの「ラウンド」。7月は、上級者用の「ハンド・タイド・ブーケ」、9月は「アシメトリカル・トライアングル」− 不等辺三角形。10月はラウンドの「フレンチスタイル」というネーミングのセンターピースをご紹介しました。そして11月は、「アップライト・オーバル」です。

秋色のオーバル・アレンジメント。“深まり行く秋”を大きく活けてみました。正面から見ると大きな楕円形に見えるように活けていきます。堂々とした大きなアレンジです。私の花のクラスでは、なかなか難しいので中級でレッスンします。よくホテルとか大きな会場に映える活け方ですから、相当遠めに効きます。ラインフラワーでの高さの取り方は基本と同じ、花器の高さの1.5倍くらいを取りますが、横の出っ張り具合でスケールの大きさが決まります。細身のオーバルがお好みでしたら、横にはあまり広がらないように気をつけましょう。太身がお望みでしたら、堂々と横に張り出してください。ただし、やはりバランスを考えて、それと活ける花の全体のボリュームを考慮しながらです。

さて、今度は、スペシャルのサンクスギビングのアレンジメントです。この季節にはかかせない「コーニュコピア」というホーン(角型)の形をした花器に活けこんでみました。感謝祭の象徴のドライコーン、ぶどう、姫りんごとゴーズと呼ばれるおもちゃみたいな小型パンプキンをアレンジしました。これも大きなアレンジになりました。

「コーニュコピア−Cornucopia」というのは、“やぎの角”と言う意味で、16世紀の始めころから“豊かな収穫”という意味合いで親しまれてきました。装飾的には、この“やぎの角”からフルーツや果物や花が溢れ出るといったアレンジにするのが、「豊かさ−Plenty」、「繁栄−Prosperity」を表現するのだそうです。500年以上もたった今でも豊かな収穫の象徴として感謝祭にはかかせない飾りになっています。11月の花屋では、ドライフラワーやイミテーションのフルーツを活けこんだ様々なコーニュコピアを見かけます。これは、まさに「季節のアレンジ」ですね。

花を活けるオアシスをホーンの間にセットして、そのホーンの合間から花や果物が流れ出る、溢れ出すというイメージで横に長いアレンジを作っていきます。ドライコーン(3個で5ドルくらいで売っています)は、ワイヤーで最初に花器の縁にくくりつけます。後は、全体の色合いに注意して、深いオレンジ色、茶色系の花でまとめるとしっくりいきます。“レオニダス”という茶色の薔薇が素敵でしょう?それから、オレンジ色のデンドロビウム(蘭)がとても豪華ですから、お客様をお迎えする部屋のアレンジには最適です。

「ヤロー」は、脇役として合間に見え隠れしています。「ハイペリコム」という赤い実の花は、秋の実の物の代わりです。これも味わいのある脇役になっていますよね。

どうぞ、季節のアレンジ、皆さんも挑戦してみてください。まずは、コーニュコピアを手に入れることからですね。今年のターキーディナー、楽しみになってきましたね。アメリカでは、これを食べなきゃアメリカ気分を味わえないというか、とっても「アメリカーン!」なものなのです! Have a happy Thanksgiving !!

お知らせ

今月号のニュースレターはいかがでしたでしょうか。ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております。今後の発行の参考にさせていただきますので、ぜひお声を寄せてください。

来月号は、もちろんクリスマス・アレンジメントです。フルーティなクリスマスを考え中です。どうぞお楽しみに。それまで、ごきげんよう。 。

6月にEllieのアレンジメント教室、Ellie’s New York Floral Design を開校しました。月に1回の「季節の花」を活けるクラスも新設しました。初心者からプロになりたい方まで指導する教室です。ご興味のある方は、こちらからどうぞ

www.elliesny.com/flowerschool

来月からの定期購読をご希望の方は、 以下のHPの申込書からお申し込みください。

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《発行人》Ellie Grace Toda
《発行元》Ellie's New York, Inc.
《ホームページ》http://elliesny.com 日本語のページ
《お問い合わせ》flower@elliesny.com
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編集後記

先月は、「マム(菊)の種類が豊富になり、大変素敵なマムを多く見かけるようになった」と紹介しましたが、なんと、今月号のアレンジの決め手となったのは、エンジ色のデイジーマム(小菊)だったりして・・・。というのは、このかわいい小花をあちこちに飛ばしたとたん、とてもかわいらしいアレンジになり、親しみやすくなった感じです。なんといっても、ゴージャスなアレンジメントを目指す私にとっては、やはりよそ行き用?の薔薇とか蘭とか活けこんでしまいますから、この小菊が入って、なんかフレンドリー?な感じになったというか・・・。皆さんもやはりそう感じますか?この花の組み合わせ、少し前までは考えませんでした。やはり、改良された新しいマムのせいでしょうね