[ May - 2006 ]
---------- 目 次 ----------
ごあいさつ
今月のお花つれづれ
〜【母の日の特別アレンジのセミナーから】〜
Ellie の5月のアレンジメント
〜【ハナミズキの活けこみ】〜
Ellieのつれづれ日記 - 今月の思い出話
〜【家族の絆と教育熱心の関係―アメリカの場合―の巻】〜
編集後記
お知らせ

ごあいさつ

5月も下旬になると、もうすっかり夏模様のNYです。まだ、あまり湿気がないのが救いですが、かなり暑いです。

学校は、もうそろそろ夏休みが近くなるので、子供たちは少々浮かれ気味になってきます。夏休みの予定も今ころしっかり立てないとね。

私のフラワースクールでも、夏休みはいつからですか?とよく聞かれます。いつも暑い8月はお休みです。でも、仕事をしている生徒さんたちからすると、花がない状態が長く続いて働いてばかりだと、いやになる、とか。

そういう方のために、なんとか場所を確保して何回かでもレッスンをしてあげようと思っています。いつもの場所(日系人会)は、改装工事をするそうですから。

今月のお花つれづれ

【母の日の特別アレンジのセミナーから】

5月13日、母の日の一日前に、母の日特別アレンジのセミナーをしました。

今回は、NYスタイルと称するもの。これは、何かというと、NYのお花やさんでよく見かけるアレンジの形。

私がインターンで働いていたマンハッタンのお花やさんでは、アレンジの注文を受けると、決まってこの形のアレンジでした。

丸や四角の透明な花器に、茎が丸見えですが、どんどん斜めに花を挿していきます。そして、出来上がりはこんもりと、ラウンド風。

お花器に水を入れて、それから延命剤のパウダーをぱらぱらと混ぜて、それにアレンジをしていきます。

決め手は、大きなぽってりとした花が入ること。場所をかなり占めるからそのほかの花が活けやすくなります。オアシススポンジは使いませんから。

毎日お水を代えてやったりすると、確かにオアシスに活けるより花が長持ちする感じです。

いつものオアシス活けとは違って、受講した皆さんも新鮮に感じてくれたようです。

このテクを覚えておくと、巷の花やで安いブーケなどをベースにして、あっという間にテーブルアレンジができるようになる、と思います。

私の母の日のイメージには、決まって紫色の花が入ります。今回は、紫のバラを挿しました。

さて、どうでしょうか、このかわいいアレンジ!

どうぞ見てください。(ブログにアップしてあります)


Ellie の5月のアレンジメント

【ハナミズキの活けこみ】

5月は、ハナミズキの季節です。アメリカハナミズキは、ドッグウッドといって、この花が日本に持っていかれたそうです。

けっこう、枝のしっかりした花で、花自体も結構しっかりしています。茎もなかなか硬いし。

それから、大振りのラン、シンビジウムをいただきました。これが真ん中に入っています。

母の日同様、紫の花が入っていますが、これは、トルコキキョウ、リシアンサスです。まるでバラのようにあでやかですよね。

枝ものとランとの組み合わせ。なかなか難しいものです。


Ellieのつれづれ日記− 今月の思い出話

【家族の絆と教育熱心の関係―アメリカの場合―の巻】

アメリカの家族の強い結びつきを、しっかりと見せられたことがありました。

5月21日の日曜日に、長男の大学の卒業式がありました。るんるん張り切って大学に行き始めたと思ったら、もう卒業、といった感じです。あっという間に4年が経ちました。

その息子の卒業式に、日本から私の両親が出席するために渡米してきました。この時期、子供たちの卒業式に出席する両親たちで、けっこう飛行機はいっぱいだとか。我が家だけではないのですね、卒業式にわざわざ日本から来るというのは。

21日は日曜日です。午前11時からスタートということで、我が家から1時間半のところにある、コネチカット州の息子の大学にでかけました。

母は、張り切って日本から着物を持ってきました。お茶の先生をしているから、着物は慣れているので、とても着こなしが上手です。薄いブルーの着物で夏らしいものを持ってきて大正解。その日は、なかなか暑かった。。。

父は、一張羅の背広ですが、それがなんと30年前に仕立てが約30万もしたというシロモノ。いまだにビッとしています。さすがに全然時代を感じさせません。

私もこんなときくらい着物を着るか、とも思いましたが、なんせ運転するからとても無理。。。というか、自信なし。そこで、普通のスーツの格好。次男には、やはりネクタイとジャケットを着せました。

会場についたら、1時間半も前なのに、もうすでに席はほとんどいっぱいです。見ると、おじいちゃん、おばあちゃんたちもたくさん来ています。みんなの服装は、けっこうカジュアルで、なーんだ、という感じ。かといって、きちんと正装をしている人たちも多いけど、父のように背広にネクタイという人は見かけません。TPOがバラバラです。

でも、学長さんや教授たちはきちんとスーツを着ているのに、こちらサイドでカジュアルの服というのはやはり失礼にあたると思うのですが。。。日本の卒業式の感覚でいくと、あれれ。。。と思うことばかりです。

会場は外でした。図書館の前の大きな広場に、すごい数のいすがばーっと並べられ、真ん中の卒業生を囲むようにして親たちが席につきます。卒業式への出席は別に生徒に義務づけられているわけではないので、全員が出席ではありません。

しかし、出席する生徒の親たちは、両親はもちろんのこと、やはりおじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん、いとこたち、兄弟たちそして友人たちと一族郎党たくさんの人たちがお祝いに駆けつけます。

卒業式に着る特別の服、昔のヨーロッパの貴族たちが着るようなガウンと四角い帽子を身につけて、にこにこしながら生徒たちが入場してきます。全学部の卒業生たちは、総勢1200名ですから、入場にも時間がかかって大変です。

最初に学長さんの挨拶から始まって、その日のゲストのスピーチなどそれはお決まりのものがあり、さていよいよ卒業証書授与式です。

学部ごとに学部長さんがどんどん名前を読み上げていきますが、見ていると、整列した生徒たちが自分の名前を書いた紙を差し出しています。そして、どんどん、どんどん名前を読んでいくのです。

でも、あのように、さっさ、さっさと流れ作業のように手渡されていく卒業証書はいったい、名前とちゃんと一致しているのかな、と思ったら。。。やっぱり、うその証書でした。

本物は後で郵送されてくるそうです。あれは、儀式だったのですねぇ。ま、そうでしょう、1200名もの生徒たちに名前を間違わずに渡すのはまず無理、という感じの速さでしたから。

この卒業式では、アメリカ人家族の絆をおもしろい形で見せられました。

それは、自分の子供の名前を読み上げられたときのことです。

もうすぐ順番が回ってくるというときに、一族郎党は、まるで示し合わせたように、一斉にいすから立ち上がりました。そして、口元に両手を持っていって、叫ぶ準備。「せーの」って感じです。

そして、いよいよ、「○○」と名前を呼ばれたら、家族中みんなでお腹のそこから思いっきり子供の名前を呼んだり、叫んだりするのです。おじいちゃんも、おばあちゃんも、お上品そうなお母さんも、みんな一斉に。ブッブーとラッパを鳴らすところもあったりして。。。

そのアピールの仕方が、一族で統一がとれているところは、ほほえましく見えました。その雄叫び?が終わると周りの家族もにこにこ。全くよくやったとばかりです。「お宅は結構、結束しているわねぇ」って感じに。

叫び終わったあるお母さん。 “Feels so good!” 「気持ちいいものねぇ」と言っていました。

アメリカ流の「おめでとう!」ということなのでしょう。なんとにぎやかな。。。

でも、その家族うちでは、お互い超盛り上がって、叫び終わって「やったね!」という感じで喜びあっています。まるで、ますます家族の結束を強めたって感じです。

私も両親も最初は、「よくやるワー」とシラーっとしていましたが、だんだんと慣れてきました。周りに影響を受けやすい私たち。。。

どんどん名前を呼ばれるものだから、あっちでワーワー、こっちでワイワイ。私たちもおもしろがって、あっちキョロキョロ、こっちソワソワ。

そこで、息子の時には、「よーし、私たちもやるぞー」と、張り切ったのはしかし母と私だけ。男たちは知らんぷりというか恥ずかしがってダメでした。私たちオンナ2人の雄たけびなんか知れたものですから、後で息子に聞いたら、ちっとも聞こえなかったって。なーんだ、残念。叫びが足りなかったかぁ。。。

それから、もう一つおもしろいことに気がつきました。それは、母の着物姿へのリアクションです。着物はいわゆる民族衣装ですから、目立ちますよね。母の着物は薄いブルーですから、派手ではありませんが、アメリカ人にも正装とわかるものです。

息子の大学のほとんどの学生は白人です。黒人とアジア人はぽつぽつしかいません。ですからとても目立ちます。そこにきて着物姿ですから、どんなに目立つかと思いましたが、みんなは母の姿を見てただニコニコするだけ。ひそひそと話したり、囲まれたりすることなく、ただ母を眺めてはニコニコ。とても上品な扱いでした。

さて、卒業式がすっかり終わってから、卒業した息子娘たちと一族郎党は思い思いに、写真撮影をします。みんなのなんと嬉しそうなこと。卒業した本人もお祝いに駆けつけてくれた家族に包まれて、とても幸せそう。

家族全員で卒業をその場でお祝いする風習って、子供が巣立っていく上で、とても励みになるものではないかしら。そして、自分の家族のつながりもしっかり理解できて、全くいいものだわー、と思います。

まぁ、アメリカの風習ですから明るいのですが、とっても暖かいものを感じます。子供への教育熱心な親の姿は、家族の絆をより深めることに貢献しているようです。

子供をアメリカで育てていく上で、特に感じたことがあります。アメリカ人の親たちは、教育熱心といえば、決して学業のことばかりではなく、むしろ学校の勉強以外のアクティビティに親が積極的に参加するのです。

息子の同級生たちも、スポーツで活躍している選手の親たちは、忙しい中を一生懸命応援に駆けつけます。週末はもちろんのこと、週日の午後3時、4時の試合に、特に父親が応援に現れるのですよ! 両親揃って来ることもあるし。そして、試合の後のために、差し入れをしたりします。

私などは、ほとんどほったらかしでしたので、頭が下がる思いでした。息子によく言われていました、「我が家は、ちっとも応援に来ない」と。

それは、次男のサッカーの試合のときにも言われたことがあります。ある日の試合の後に、恐い顔で私の前に現れました。私は仕事でとても疲れていて、つい、「今日の試合はもういいや。また今度に見に行くことにしよう。」なんて軽く思って、「行くかも。。。」と話していたけど、結局はすっぽかしたことがありました。

そうしたら、帰宅した次男の怒ること、怒ること!

「お母さん、今日の試合を見に来るって言ったでしょ。どうして来なかったの?今日は、ボクが得点したんだよ。いつも来るって言って来ないけど、特に、今日は来て欲しかった!」って。

ひたすら、「ごめん、忙しかったから」とわびる私を息子は容赦しません。

「○○君のお父さんは、お母さんよりもっと忙しいはずだよ。でも、いつも来てるでしょ。忙しいは、理由にならない!」と、かなり頭にきた様子。恐―い顔をしています。

はい、私も深―く反省いたしました。。。ごめんなさい、です。

「言ったことは、きっちり守りなさい」と常に私の方が言っているのにね。

そうやって子供の一生懸命やろうとしていることを、応援に駆けつけて、きっちりと態度で示しているアメリカ人の親たちに、心から感心した覚えがあります。「よくやったねぇ」と口先ばかりではないんですねぇ。

長男にも聞いてみたところ、やはり応援に駆けつける親を持つ友人たちを密かにうらやましがっていたそうです。アメリカで育った子供たちは、親に自分のプレーを見てもらって、応援してもらいたいようです。日本の場合は、全く逆と聞いていますが。。。恥ずかしいからむしろ来てもらいたくない、とか。。。

長男の親友のエリックのお父さんは、この辺で超有名なスポーツ外科の先生。いつも予約患者でいっぱいで、オフィスで働く看護婦たちが根をあげるほどの忙しさとか。

でも、すごいことに、息子のエリックのベースボールの試合とか、サッカーの試合となると、万難を排して応援に駆けつけるのです。そして、心から声援を送り、息子たちのプレーやチームを励まします。

いったいどうやって時間をやり繰りするのか、と聞いたところ、やはりプライオリティをかなりトップにおいて、できる限り応援に行く努力をするとのこと。そのために、昼休みも惜しんで働いて穴埋めするとか。全く、頭が下がります。

そして、そんな親たちは、子供の教育を通してしっかり気持ちが結ばれているせいか、大変離婚率が低く、親たちがとても仲がよいそうです。すばらしいですよね。

そして、そういう親に育てられた子供たちは、私の知る限り、例外なくやはりきちんとした、礼儀正しいよい子供たちです。

この日卒業した長男は、スポーツ医学の分野のアスレチックトレーニング学部を専攻しました。そして、スポーツで有名なNYのシラキューズ大学のトレーニーとして勤めることになりました。大学院に通いながらの勤めですから、たぶん厳しいでしょうが、自分はプレーする側より、プレーする選手やチームをサポートする方にまわりたいそうです。

卒業式を通してアメリカの家族の盛り上がりを見た年老いた両親は「あぁ、来て参列してよかったわー」と言っていました。じゃないと、息子がたぶん寂しい想いをしたでしょうから、とのこと。

こちらは、参列する家族の人数は少ないけど、一番遠くから駆けつけたようなものですから、息子にもその想いは伝わったようです。これから就職してひとり立ちするのに、多いに励ましになったと思います。

次男も、式の間中、暇そうにして居眠りしていたけど、「家族のためにしょうがないや」と思ったそうで、これもまた彼のためにはよい教育?になったのでは、と思っています。

その日は、とても天気がよくなかなか暑くて、外だったため日に焼けてしまいました。ところが、式が終わってみんなが退場するというときになって、とたんに、ゴロゴロゴロ。。。雨雲がさーっと覆い始めました。

しばらくして雷がなり、帰りは大雨の中、家に戻りました。まずは、無事に済んでよかった、よかった。ふっと、私が「晴れオンナ」であることを思い出しました。おかげで母の着物も濡れずにすみました。ほんと、よかったわー。

編集後記

せっかく来た両親は、張り切って私の友人たちのためにお茶会をもようしました。わざわざ着物を持ってきたので、かなりあらたまったお茶会になりました。

いつもはワインでわいわいと盛り上がる友人たちも、この日はおごそかに。。。日本から持ってきた美味しい抹茶とお菓子を堪能していました。

そして翌日から、私と息子たちにお茶の特訓! なんと、長男がお茶を習いたいなんて言ったものだから、母が俄然張り切りました。

私は茶花ではなく、フラワーアレンジメントですし、足がしびれるから、お茶は飲むだけなんて言っていたけど、今回は改めて見直しました。

にわか仕込みのお茶ですが、息子たちとお茶をたてて毎日飲もうかなんて、話しています。

それでは、皆様、また来月まで、ごきげんよう。

皆さん、私にメールくださいね。励みになりますので。よろしく!

お知らせ

☆ 今月号のニュースレターはいかがでしたでしょうか。ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております。今後の発行の参考にさせていただきますので、ぜひお声を寄せてください。

☆ 12/19/03号からNYジャピオンにフラワースクールの広告を載せ始めました。現在は、毎月の第2と第4週目のNYジャピオンに広告掲載しています。

☆ 2003年の6月にEllieのアレンジメント教室、Ellie’s New York Floral Designを開校しました。月に1回の「季節の花」を活けるクラスも新設しました。初心者からプロになりたい方まで指導する教室です。現在は、マンハッタンの新スペースにて、金曜の午前と午後クラス、木曜の夜クラスも併せて開校しました。ご興味のある方は、こちらからどうぞ。

《発行人》Ellie Grace Toda
《発行元》Ellie's New York Inc.
《ホームページ》http://elliesny.com 日本語のページ
《お問い合わせ》flower@elliesny.com

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        Ellie Grace Toda
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