★ Ellieのハローウィーン・ アレンジメント
4月から、トラディッショナルなスタイルを意識したアレンジメントを順次ご紹介しています。4月は、伝統的で、基本的なアレンジメントの代表でもある「トライアングル」。そして、5月は「Lシェープ」。6月は、取っ手のついたバスケットに活けたセンターピースの「ラウンド」。7月は、上級者用の「ハンド・タイド・ブーケ」、9月は「アシメトリカル・トライアングル」− 不等辺三角形をご紹介しました。そして、今月はラウンドの「フレンチスタイル」というネーミングのセンターピースです。
さて、ハローウィーンのための基本的なスタイルは何をご紹介しようかと考えながら花の仕入れに行ったとき、「Red Intuition」(赤の直感?と言う意味)という真っ赤で島縞模様の高価な薔薇が目に止まり、思いがけずも買ってしまいました。本当はオレンジを主体にしたアレンジを、と考えてはいたのですが、もう手が勝手に動いたとしか言えません。絶対に赤のフレンチスタイルと即、決めてしまいました。ですから、これはハローウィーン用とは言えないかもしれませんね。以前、花の仕事仲間がどこかの金持ちのユダヤ人の結婚式のために、「真っ赤の薔薇だけ72本のセンターピースを32テーブル分を活けた。それはそれは圧巻だった。」と話していたのを思い出し、なんか私も挑戦してみたくなったのです。赤の薔薇は種類も豊富で、それぞれ若干色合いも違うのであらゆる名前がついています。今回のフレンチスタイルは、そんな赤のオンパレードでまとめる活け方です。上から見たらまん丸ですが、トップは横の長さよりも少し短くとり、横から見たらなだらかな楕円形を描くような丸に薔薇だけで作っていきます。頭首が繋がるように、でこぼこ感がでないようにあくまでもなだらかに曲線が繋がるように活けるということです。
今回のアレンジには、3種類の赤、「Red Intuition」の縞模様と「Cherry Love」という少々ダークピンクっぽい赤と、「Rouge Baiser」というエンジがかった赤、合計32本を活けています。写真では若干の色の違いがおわかりになるでしょうか。この3種の薔薇は大きく咲き開くので大輪の薔薇として名が通っています。いわゆるパーティ用の活けこみには最適で、大変豪華でインパクトも強く、ですから値段も高く設定できます。実際に、このアレンジは300ドルもの価値があるものです。1テーブルに300ドルもかけてパーティをするなど、庶民的感覚では到底想像もできませんが、NYでは決して珍しいことではありません。真っ赤々のウェディングもあるくらいですから。もちろん、花嫁が持つブーケも真っ赤なんですよ!
活け方のコツとしては、とにかく2-3日前から充分に水揚げをして、大きく花を開かせること。活ける当日には、大輪の薔薇になっていることが重要です。そうじゃないと、赤の薔薇が何本あっても足りません、という貧弱なアレンジになってしまいます。人にお見せする日、パーティの当日が最高の咲き具合、というふうに持っていくことです。一番最初に習う「ラウンド」を思い出しながら、空間を薔薇だけで埋めていってなだらかな曲線を描くように作ってみてください。
さて、今度は、スペシャルのハローウィーンのアレンジメントです。パンプキンツリーのオレンジを基調に色合わせをして、エンジ色や茶色なども入れ込みます。アクセントとして中央に少しピンクとブルーの花も入れてあります。がまの穂がなんとも秋らしさを出してくれますね。元気いっぱいのひまわりがダイナミックなアレンジを創り出します。直線のラインが多い花ばかりなので、活け方も敢えて挑戦せずにトライアングル風にまとめました。その代わり、私の黒のスカーフを巻きつけて、オレンジ色の葉っぱを散らし、オレンジと黒のキャンドルも灯して、気分的にはハローウィーンという感じに仕上げました。大きな大きなアレンジになりました。縦も横も92cmという大きさです。最近はアメリカサイズのグランドスケールという大きさがとても挑戦的で気に入っているものですから。
友人は、パンプキンツリーを見て、「まるでハローウィーンの為に生まれてきたようなものだね」と言います。また、「人が作ったみたいでしかもユーモラス」だとも。本当にそうですね。まるでおもちゃのような小粒なかぼちゃのなる花?というか枝です。10月31日がなんかとても楽しみになってきました。