[ November - 2004 ]
---------- 目 次 ----------
ごあいさつ
今月のお花つれづれ
〜【感謝際の活けこみ、コーニュコピア】〜
Ellie の11月のアレンジメント
〜【ドライひまわりのアレンジメント】〜
Ellieのつれづれ日記 - 今月の思い出話
〜【「NYからこんにちは!の講演」の巻き】〜
編集後記
お知らせ

ごあいさつ

先月末に冬時間になってからというもの、日を追って一日が短くなる感じで、夕方5時にはもう真っ暗です。そんな中、アメリカの家の中はほっかほか。全館暖房が行き届いているから、家の中にいる分には快適です。特に、一戸建ての家はほとんどがガス暖房(各部屋にパネルヒーターあり)だから、ぬくぬく。

しかし、アパートに住む人にとってはちょっと違うみたい。各部屋に電気の壁据え冷暖房があり、その運転音のうるさいこと。それにあまり充分に暖まらないし、全然よくありません。時々日本語放送が恋しくなり、友人宅で、テレビジャパンを見せてもらうのですが、うっるさくて音が聞こえやしない。一見したところりっぱそうなアパートですが、どうしてこういうところが遅れているのか、アメリカ事情が時々不可解です。日本製の静かなエアコンなんて、全くないのですから。

でも、我が家はテレビを受信しない生活がもう1年半も続いているから、どうしても見たい番組は無理言って、おとなしく見せてもらうことにしています。その生活ももうそろそろ、私のほうが根を上げそう。子供たちは暇になるとゲームですが・・・、どうも私はまたテレビの生活を始めようかな、なんて思うようになってきた今日この頃です。年末年始だけ、テレビジャパン、とっちゃおうかな・・・。

※ ちなみに、テレビジャパンとは、ほとんどNHKの番組が一日中放送される、まじめーな放送局です。でも、あるとついつけてしまって、日本語放送を通してアメリカ事情を知る、という不思議な現象?が起こってしまいます。

今月のお花つれづれ

11月は、なんといっても「サンクスギビング」(感謝際)のアレンジです。今年も我が家では、“コーニュコピア”という、動物の角の形をした籠に活けこみをしました。アメリカ独特のユニークな活けこみです。

この「コーニュコピア−Cornucopia」の由来は、“やぎの角”と言う意味で、16世紀の始めころから“豊かな収穫”という意味合いで親しまれてきました。装飾的には、この“やぎの角”からフルーツや果物や花が溢れ出るといったアレンジにするのが、「豊かさ−Plenty」、「繁栄−Prosperity」を表現するのだそうです。500年以上もたった今でも豊かな収穫の象徴として感謝祭にはかかせない飾りになっています。

11月の花屋の店頭には、ドライフラワーやイミテーションのフルーツを活けこんだ様々なコーニュコピアを見かけます。これが、まさに11月の「季節のアレンジ」。

アメリカの感謝祭の象徴として、七面鳥、かぼちゃ、とうもろこし、栗や木ノ実などの自然な実の物、ぶどうやりんごなどがあります。色合い的には、こっくりとした森の奥深い感じのする、ダークグリーン、エンジ、茶色、オレンジ、濃い紫などが挙げられます。それらを組み合わせると、アメリカの感謝祭を表現できるようになります。

それらの色合いのマム(菊)やひまわり、赤い実のもの、サフラワー(紅花)などなど、こんもりとその“角”から流れ出るように、ゴージャスに活けこみました。ここがポイント。流れ出るように、豊かさを表現すること。

季節の活けこみはとても楽しいものです。その季節、季節でしか味わえないユニークさがあり、それを飾るといっぺんに部屋が季節を享受する空間に様変わりします。花を一つ飾るだけで、気分転換にもなり、豊かな気持ちも味わえるようになり・・・つくづく、空間アレンジの意味の深さを感じさせられます。

そして、この活けこみが終わると決まって恋しくなるもの。それは、「くりごはん」です。その季節にしか味わえないものって、私はとても大切にしています。季節が巡りゆく、というなんとなく切ない感じ?も楽しみになってきたりしますよね。そうだ、来年は、いがいがの栗をそのまま活けこんでみようかな?でもアメリカではそのままではどこにも売ってないみたいだけど・・・。

Ellie の11月のアレンジメント

10月、11月と秋のアレンジが続きます。でも、どちらかというと、色とりどりなのは、11月かな? というより、秋深まり行く感じをだすアレンジだから、おもしろいと思います。

今月は、大きなひまわりを手に入れたのですが、その花びらをむしってとってしまいました。そしたら、おもしろい色のグリーンのひまわりの顔がでてきて、ユニークな感じになりました。

ドライの葉と組み合わせて、縦長にすっきりと11月を現してみました。そしたら、大人っぽい?サンクスギビングのアレンジになりました。でも、残念なのは、天気の悪い暗い日に撮影したため、写真が思ったようにうまく撮れませんでした。反省しています。そして、また来年、挑戦します。


Ellieのつれづれ日記− 今月の思い出話

「NYからこんにちは!の講演」の巻

先月、両親の金婚式のお祝いに帰国した折、友人が教授を務める仙台市の宮城学院女子大学にて、突如、私の講演?を頼まれました。講演と言っても、彼の受け持つ授業の一クラスを使って、NYのいろいろについて話す、というものでした。

お題は、「NYからこんにちは!」

彼の人気授業、言語学の1年生のクラス対象に、約1時間のお話。「いったい、何、話そう・・・。」今の大学1年生くらいの女の子って、何に興味があるんだろう・・・。けっこう悩みました。

そこで、同じくらいの歳の息子や友人に聞いてみたら・・・全く無駄でした。「わっかんなーい。」で、終わり。そりゃ、そうかも。女の子だし、日本の子だし。

ま、結局、いつもの私の癖で、ぎりぎりになってお尻に火がついた状況になって初めて本気が出て(?)日本までの飛行機の中と成田から仙台までのJRの中で考えました。

帰国第一声の両親の声。「あんた、いったい何しゃべるの? 大丈夫?」いつまでたっても親は子供を心配するものです。

でも、せっかくのお祝いに帰ったのだから、あまり不安そうな顔を見せるのもなんだし・・・。さて、どうなることやら・・・。ま、気持ちだけ抑えて、当日に臨みました。

久しぶりに会う教授している友人も変わりなく、おみやげの“MATSUI 55”(NYヤンキースの松井)のTシャツを喜んでくれました。そして一言忠告あり。「一応、英文科だからさ、 在学中の英語の勉強が大切だって、忘れないで言ってくれよな。」

OK !もっちろんです。

大きな階段教室の壇の上に立ったら、「うっ、大きい。」なんと、そのクラスは100名くらいの規模。友人、Mr.Yは、なかなかたいした人かも・・・なんて、そこで改めて感心したりして・・・。私の自己紹介の声がうわずってしまっているのが、くやしい。

ま、何を話したらいいか、まずは生徒に聞いてみましょう・・・。アメリカに行って見たい人・・・、ほとんどです。ロス?それともNY?・・・、3対7くらいでNYです。「松井がいるから?」と聞いたら、一応うけてくれた・・・。よし、よし、その調子。

こうなったら、私の話したいことを話すしかありません。アメリカのネイルサロンのこと(アメリカ人はネイルケアがすごいという話)から始まり、NYのファッションのこと(おなかがポテポテでも、むちむちでも、アメリカ人は自分が着たい服を着るという話)などなど、思いつく限り、みんなが興味を持ってくれそうな話をけっこうしたつもり。

いろんなおもしろい質問も出たけど(割愛します)、とうとう出ました、待っていた質問が。「いつから、今のお仕事を始めたのですか?」

「そうですね、好きなことが昂じて仕事になったのは、次男が10歳になったとき。だから、ついこの前って感じかな?」「へー、以外・・・」って声が聞こえたかな?

私って、けっこう昔っからばりばり仕事していたみたいに見えるらしく、しかし、実は全然そうではなく、昔はしっかり専業主婦をしていました。いつかはキャリアを持って働いてみたいものだ、なんて思っていましたから。

そういえば、私が学生の頃は、私がお花で仕事をするなどとは到底思いもつきませんでした。母が小原流の生け花の師匠をしていたけど、私はその時はまるで興味なし。英語は小学生の時から得意だったから、英語を使った何か、おこがましくも“通訳”とか“翻訳”とか(きゃー、うそ臭い・・・)目指そうかな、なんて思っていたこともそういえばありましたっけ。

でも、それから○十年たって、振り返ってみると、確かに英語を使って、アメリカでお花の仕事に携わっている私がいる。あれは、そうそう、ミネソタ大学留学中、仲良くなった大学院生の富田さんという女性に、生け花草月流のすばらしさ、おもしろさのうんちくを熱心に語られ、それがきっかけで私が始めて生け花に興味を持ち始めたんでしたっけ。(決して、母からではなかったのは不思議ですが・・・。今では、しっかり私の師匠です。)

とにかく「やってみたい!」と強く思ったのは鮮明に覚えています。

留学後、日本に帰ってからすぐ結婚をし、それと同時に草月流を習い始めました。そうしたら、おもしろいのなんのって。枝物を使い、数本の花を使うだけの花型だけど、限りなく奥深い創造性を感じて、すぐにとりこになりました。富田さんが言っていた通りでした。

それから17年もずっと草月流を続けて師範も取りましたが、しかしいつまでたっても修行が足らない感じで、とても人様に教えるなどということは、まるで考えも及びませんでした。その後、夫がベルギーに転勤になり、ベルギーの先生について習ったり、NYに来てからは、草月NY支部の相当上の先生について大使館の奥様たちと一緒に習って続けていましたが、草月流の組織が大きすぎて、また、複雑な人間関係があるのを見せられて、生粋の“活ける”という行為がなんだか遠くに行ってしまいそうな、そんな感じで私の中で草月流は終わりました。

その間、“活ける”ことが好きだった私は、豪華な花あしらいのフラワーアレンジメントにも興味を持ち、あっちこっちの教室に通いました。一ヶ所にじっとしてじっくり学んだのは、アメリカに来てからです。そして、どんどん楽しくなりました。

そして、ある時ピンと来て、(そう、不思議ですが突然来たのです)ますます本気で学ぶ決心をしました。それ以来、花が私のキャリアになったのです。

(この、ピンときたきっかけは、またいつの日か改めて教えることにしますね。これ書くと、また長くなるから・・・。)

それから私が学生のみなさんに伝えたことは、せっかく英文科に通い、英語を本格的に学んでいるのだから、なんとしてでも外国に行き、英語を通じて違う文化に触れてみること。(お断り: 別に、英文科に行ってなくても、実は、普通に誰に対してもそう思っています。)

「あぁ、こういう習慣があるのか。こういう時は、このような態度をとるのか。この人の着こなしはどうなっているのだろうか、とか」・・・などなど。なんでもいいのです、感じることは。こういう今までに違った自分の感じ方を通して、その時に自分が学ぶべきことが気づきとなって、目の前に現れてくるものだと思います。そして、それが、大きく人間的に成長させてくれるきっかけになるに違いありません。私自身、そうでしたから。

それから、もっと大切なこと。それは、自分がとても好きなこと、わくわくして楽しいことを見つけることです。それが、たとえば、ガーデニングであっても、ワンちゃんのグルーミング(ヘアカット)であっても、山歩きでもなんでもよいのです。そして、それを英語を使う立場からみたりしてもいいし、外国のやり方を学ぶのもいいかもしれません。とにかく、その好きなことを自分が納得するまで徹底的にやってみることです。

私は、「好き」が昂じて花が仕事になりました。花は、フランス人、ベルギー人、アメリカ人、日本人とさまざまな文化において学ぶ機会が与えられ、そのときには自分が置かれている立場に感謝もしなかったけど、今思うと、まさに私は恵まれていたかな、と。あの時に、もっと本気を出しておけばよかったかな、と思ったりもしますが、思い立ったときがすべての始まりです。私は、ついこの間?思ったのだから、仕方ありませんね。でも、本気になってからのわくわく感は、何事にも代えられません!って感じです。

「これが私は得意!」という強みを持っている人は、決してそれがキャリアに繋がらなくても人間的に強いと思います。まずは、心が豊かになりますから。それから、自分に自信を持てるようになると思います。

このことを私は、かなり強調したつもりでしたが、どうやらみんなにはちょっとは伝わったみたいです。みんなが書いてくれた感想文は、なかなかよかった、とMr.Yが教えてくれましたから。

でも、振り返ってみると、何事もモノにするには、まずは気持ち有りき!ですね。「やってみたい!もっと学んでみたい!」と強く思えるものがあればこそ、ようやく形となって現れてくるものだと思いました。そして、成功者の話を聞くと、好きだからこそ、ウチから湧き上がる創造性をより強く体験できるのだそうです。

私ももっとがんばろーっと。みんなに講演しながら、私にとっても改めて自分自身に言い聞かせるよい機会 となりました。

講演の後、最前列に座っていたKさんが挨拶にきてくれました。もしかしたら、この方は生徒さんのご父兄?と思っていたのですが(失礼ですね、ごめんなさい)なんと、ぴかぴかの英文科の1年生とのこと。3人のお子さんたちをすっかり育てた後に、ご主人がスポンサーで、今頑張って英語を学んでいるとのことでした。いやー、たいしたものですね。Kさんの勇気と行動力にすっかり感心してしまいました。「思い立った時が始まり」という話に共感を持ってくださったようです。

Kさんの頑張っている姿に、私もますます勇気づけられ、なんだかとっても嬉しくなった講演会でした。また、いつか、こんな機会がもてたらいいな・・・けっこう話していて楽しかったし・・・なんて思ったりもしました。きっと、そうなることでしょうと、夢を持ちつつ・・・、私は仙台を後にしました。

編集後記

11月の最初の1週間は、久しぶりの日本でした。久しぶりと言っても、今年2回目。年に最低2回は帰国するから、恵まれている方かしらね。毎日美味しいものをいただいたので、かなりふっくりしてしまい、現在ダイエットトライ中。

両親の金婚式のお祝いのための帰国にしては、毎日があっちこっちと忙しく、あまりゆっくりできなかった娘に対して、両親はちょっぴり不満そう。いつか、深まり行く秋の行楽にのんびりと温泉につかりながら美味しいものをいただく、という贅沢をしてみたいものです。子供たちが学校の間は無理だから、後、もうちょっとの辛抱かな?でも、楽しみですが、寂しくもなるのかしらね。

それでは、また来月まで、ごきげんよう。

皆さん、私にメールくださいね。励みになりますので。よろしく!

お知らせ

☆ 今月号のニュースレターはいかがでしたでしょうか。ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております。今後の発行の参考にさせていただきますので、ぜひお声を寄せてください。

☆ 12/19/03号からNYジャピオンにフラワースクールの広告を載せ始めました。現在は、毎月の第2と第4週目のNYジャピオンに広告掲載しています。

☆ 2003年の6月にEllieのアレンジメント教室、Ellie's New York Floral Designを開校しました。月に1回の「季節の花」を活けるクラスも新設しました。初心者からプロになりたい方まで指導する教室です。現在は、マンハッタンの新スペースにて、水曜の昼と夜のクラスも併せて開校しました。ご興味のある方は、こちらからどうぞ。

《発行人》Ellie Grace Toda
《発行元》Ellie's New York Inc.
《ホームページ》http://elliesny.com 日本語のページ
《お問い合わせ》flower@elliesny.com

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        Ellie Grace Toda
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